夕飯を終えて風呂にも入って、リビングのソファでうとうととうたた寝をしていたとき、玄関の鍵が開く音がして目を覚ました。


足早に廊下を歩く足音がしてリビングのドアが開かれる。


「ごめんね和輝。夕飯食べた?」


大急ぎで帰ってきた母親はソファに横になっている和輝へ聞く。


その表情はとても心配そうに見えて、つい笑ってしまった。


「食べたよ。そんなに心配しなくても大丈夫だって」


「そう、よかった」


ホッと胸をなでおろして買ってきたものをテーブルに置く。


母親の方は夕飯がまだのようで、買い物袋の中には弁当が3つ入っていた。


まだ帰ってこない父親の分まであるみたいだ。


「母さんは少し心配しすぎなんだよ。夕飯分の金だって用意してあるんだから、オレ1人でもどうにかなるんだから」