年齢は40代前半で、ガソリンスタンドで働いているらしい。


接客業だから話出すと止まらなくなるんじゃないかと、母親はおかしそうに話していた。


ご近所さんだし挨拶くらいしたほうがいいと思いながらも、立ち話が長くなるかもしれないという思いがせめぎ合う。


どうしようかと考えている間に男性と視線がぶつかった。


「やぁ、こんにちは」


よく日焼けした男性は笑顔で声をかけてきた。


「こんにちは」


和輝は軽く会釈をして通り過ぎようとした。


男性も同じように通り過ぎる、その瞬間。


「あ、あの」


和輝の方から声をかけていた。


話好きな人ということは、この街にまつわる怖い話も知っているかもしれない。


そう思ったのだ。