だけど和輝は必ず5つ目の怖い話を見つけて披露するつもりだった。


共働きで誰もいない、暗い家に帰宅した和輝はそのまま自分の部屋へと向かった。


キッチンの棚には帰ったときのお菓子が用意されているが、今日はそれにも目もくれない。


カバンを床に投げ出して机に向かうと、右側の引き出しを開けた。


そこには小学校の集合写真や、遠足、運動会などの写真が収められたアルバムがある。


5年間で随分と写真が増えてしまっていて、開けた瞬間何枚か床に落ちてしまった。


引き出しの中でグチャグチャになってしまう前に、大きなアルバムを買いに行かなきゃいけないな。


そう思って身を屈めて写真を拾おうとしたときだった。


和輝の動きが止まった。


視線は床に落ちた写真に釘付けになっている。


それはいつものメンバーで撮影した遠足のときの写真だった。


和輝は震える指でそれを拾い上げ、机の上に乗せる。


「待ってろよ。絶対に成功させてみせるからな……」


そうつぶやき、写真を指先で撫でたのだった。