目を閉じたらすぐに浮かんでくる、倒された椅子と机。


クラスメートからの冷めた視線。


放課後の呼び出し。


それらを思い出して奥歯をきつく噛み締めた。


高校3年生に上がってから仲の良かったメンバーは突然急変した。


恭平が先に進学先を決めてしまったのがキッカケになったようで、数々の嫌がらせを受けるようになったのだ。


机や椅子を倒されるくらいならどうってことはない。


だけど放課後の呼び出しはさすがに精神的にキツイものがある。


もともと仲間だった奴らが自分を攻撃する姿を見るのが辛い。


もちろん、殴る蹴るという暴力も辛いけれど、それよりも変わってしまった仲間を見るのが恭平にとって一番きつかった。


そんなことが起こり始めてから恭平は学校から足を遠ざけるようになった。


制服姿が家を出て、カバンの中に入れている私服に着替える。