努力することはあまり好きじゃないけれど、今の恭平みたいに上手に話せたらいいなと考えた。


「わかった」


「恭平」


公園から出る寸前、足を止めて振り向いた。


恭平はまだベンチに座っている。


空を見上げていた恭平は視線を実へうつした。


「なんだよ」


「学校、行けよ」


実はそれだけ言って背を向けた。


残された恭平は目を丸く見開いてその後姿を見つめる。


まだなにも知らない小学生だと思っていた実が、あんな言葉を残して行くなんて思っていなかった。


そして実の後ろ姿が見えなくなったとき、恭平はふっと息を吐き出して笑った。


進学が決まったという話は嘘じゃなかった。


だけどいつまでも休んでいたら出席日数が足りなくなってしまって、進学が危うくなる。


でも、恭平には学校に行けない理由があった。