怖い話を集めることに関しては自分1人の問題じゃない。


友達が7人も関係していることだから無茶をするべきじゃない。


そんな風に考えられる。


「わかった。飯田をビビらせて悪かったよ」


「いや、飯田がビビリだったからだよ。実は全然怖くない」


直人に言われて実はふふっと微笑んだ。


その笑顔は優しい。


どれだけ傲慢な態度をとっていても、その中にはちゃんと優しさが眠っている。


ただ、表からは見えないだけなんだ。


「じゃ、僕帰らないと行けないから」


直人は買い物袋を掲げて見せた。


いくら涼しい時間になってきたと言ってもまだ暑さは残っている。


袋から突き出したネギの鮮度が心配だった。


「あぁ、じゃあまた明日な!」


実は片手を上げて、直人を見送ったのだった。