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クラスメートには会えたものの、肝心の怖い話を聞き出すことはできなかった。


「やっぱりゲーセンとかじゃダメか。明日学校に行ってから探すほうがいいよなぁ」


学校内なら生徒からも先生からも話を聞くことができる。


何百人と集まる場所だから怖い話の1つや2つ聞くことができそうだった。


「仕方んぇ、今日はもう帰るか」


家に帰るとまだ母親が怒っているかもしれないけれど、仕方ない。


このままゲーセンにいたって遊ぶお金もないし。


そう思って出口へ向かい始めたとき、誰かが実の手を掴んで引き止めていた。


飯田かと思って振り向くと、そこに立っていたのは実よりも背の高いゲーセンの常連客である高校生だった。


「恭平!」


実はつい笑顔になっていた。


高校生の恭平とはこのゲーセンで知り合って仲良くなった。