桐谷小学校のすぐとなりには、同じ名前の大きな公園があった。


「あと一週間で夏休みだね。わたし、家族で北海道へ旅行に行くの」


「アズサの家は毎年どこかに出かけてるよな。羨ましい。だけどあと一週間じゃなくて9日もある」


「直人は本当に細けぇなぁ。でもまぁ、なんか夏らしいことがしてぇよなぁ!」


「実くんの家はどこかへ出かけるの?」


「俺の家は商店街の八百屋だからなぁ。なかなかでかけられねぇんだよ」


実は残念そうに太い眉を寄せて2人を見つめた。


色白のアズサは申し訳ないことを質問したと、口を閉じる。


それを見ていた直人が仕切り直しのように「そうだ!」と、大きな声を上げた。


5年1組の仲良しメンバー、他の7人の視線が直人へ向かった。


注目された直人は少し恥ずかしそうに頬を染め、そして微笑む。


「さっき実が言ってたように、この8人で夏らしいことをしないか?」


「でも、夏休みに入ると実は毎日家の手伝いで忙しいんじゃないの?」


黙って会話を聞いていた美聡が口をはさむ。


「だからさ、夏休みに入る前に毎日こうしてみんなで集まって、なにかするんだ」


直人は目を輝かせて言う。