この裏の顔に惚れてしまった私もどうかしているのかもしれないけれど……。



「待たせるといけないので、早く行ってきてください」


「もう、美桜ちゃんはつれないなぁ……そんなところも好きなんだけど」



 柊はそう呟いてから、社長室を出ていった。

まったく、最後になんて爆弾を落としてくれるんだ。先輩が笑いをこらえてプルプル震えているのが視界の端に見える。



「もう、ラブラブね。羨ましいくらい」


「そ、そんなこと……っ!」



 ないとは口にできなかったけれど、否定はさせて欲しい。


 必死に強気でいようとしているのに、さらりと私を誘惑してくる。人前だからと平然保つのが大変な私の身にもなって欲しい。


 恥ずかしさで全身が沸騰するように暑くなっていた。



「そういえば、今度の休みって……」


「あぁぁ! 言わないでくださいっ!」



 改めて言うなんて、恥ずかしすぎる。

 今度の休み――、それは12月25日クリスマス当日だ。