だけどここは職場であり、人前なわけで――恥ずかしさで顔が真っ赤になってしまう。



「ちょっと、僕の美桜ちゃんいじめちゃダメだよ? 美桜ちゃんは僕のだからね」


「ふぇ!? ちょっ! 社長っ」



 そんなに堂々と言わないでほしい。恥ずかしいから。


 私は自分のデスクに戻り、ただでさえ小さい身体をさらに小さく丸めてパソコンの影に隠れた。



「ふふっ。相変わらずの溺愛っぷりね」



 先輩は見ていて楽しいわと微笑んでいる。


 確かに、私と柊が付き合っていることは社内でも公認されていて、誰もが知っていることだ。


 だけど、少しでも時間が出来ると甘えて独占欲丸出しにするのはどうにかして欲しい。

 いつも必死に平然を保とうと思っているのに、柊はそれを許してくれない。



「先輩っ! もう、楽しまないでくださいよ」


「ふふふっ。ごめん、つい」



 本来なら、仕事中に私情を挟んでいるのだから文句が出てもおかしくないのだけれど、今のところ全くそんな気配がない。