「やっぱり……私の存在がえーくんを苦しめてるんだね。ＳＮＳでえーくんと離れたのは、できるだけあーくんを苦しめたくなかったからなの。それでも、苦しいのなら……私は消えるしかないのかなぁ」
「そんなの……そんなことはダメだよ。僕なら大丈夫だから。お願い……僕の前から消えないでほしい！」


　必死の呼びかけに彼女は思い留まってくれた。僕は苦しんではいけない。少なくとも彼女の前では……。心に固く誓いを立てたのだ。


　くっついては離れて、またくっついて。僕と彼女は想いを寄せ合いながらも、近づくとこはできない。だって、彼女は女神なのだ。近づけばきっと……僕は地上へ堕ちていくだろう。


　それを知っていながら、僕は過ちを犯してしまった。どうしても、自分の心が制御できなかった。だから、彼女と再び別れる原因を作ったのだ。


「まーちゃん、僕のさ、キミのことを大切にするよ。もちろん、事情も分かってる。その上で、まーちゃんと一緒になりたいんだっ！」


「……えーくん。ごめんね、それは無理なの。私ってそんなに器用じゃないから。本当にごめんね、やっぱり私の存在が、えーくんを苦しめていたんだね。もう、連絡するの……やめるね。さようなら……」


　それが彼女から最後に送られて来たメッセージ。すぐに通話アプリで電話するも、彼女がでることは二度となかった。こうして僕は同じ人に二度失恋したのである。



　──数ヶ月。
　運命とは実に面白い。二度あることは三度ある。まさにそれが僕に訪れたのだ。きっかけは彼女から送られてきたメッセージであった。


「ごめんね、えーくん。実は前のグループで一緒だった人からなんだけど。変なメッセージがきたの。なにか心当たりとかあるかな？」


　この人の力になりたい。困っているのなら、手を差し伸べたい。そう思った僕は、彼女のメッセージに返事をしたのだ。