「ツヤ、お前は私たちの希望だったというのに何をやっている！カスミと同じく使えない……」

男性が冷たく言い放ち、ツヤを睨み付ける。あの男性と知り合いなのかイヅナは聞こうとツヤの方を向く。刹那、ツヤの表情に驚愕した。否、イヅナだけではない。レオナードも、チェルシーも、エイモンも、みんな驚いている。

「ッ！ううっ……。あぁぁぁぁぁぁぁ！！」

ツヤは頭を押さえ、苦しんでいた。こんなツヤを見るのは初めてである。それが数十秒続いた後、顔を上げた時、ツヤの顔には憤怒という言葉が生ぬるく感じるほど、怒りを現していた。

「貴様ぁぁぁぁぁぁぁぁぁ！！よくも！！よくも！！うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ！！」

叫び声を上げ、ツヤは鋭い爪を輝かせ、走っていく。

「ツヤさん！！」

イヅナの声も、誰の声も、ツヤの耳には届かないようだった。走り、木を飛び蹴り、鋭い爪を男性を突き刺そうとする。だが、その瞬間、ツヤの顔が苦しみ一色に染まる。

「うっ、あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ！！」

悲鳴を上げ、ツヤの体が地面へと落ちていく。

「ツヤさん！」

イヅナたちは駆け寄り、地面に落ちたショックで意識を失っているツヤに声をかける。

「フン。やはりカスミの呪いか」

男性はそう言い、悪魔と共に姿を消す。

「またね〜！」

イヴァンが明るく手を振り、姿を消す。イヅナたちは訳がわからず、ただツヤに声をかけ続けた。