「このままだと、フレッドが……私の幼なじみが殺されちゃうの!」

そう話すミモザの瞳には涙が浮かんでいた。その時、イヅナの腕がマチルダによって掴まれた。

「来い」

檻を出て、牢の中を四人で歩く。真夜中だというのに啜り泣く声、悪夢に魘される声が響いている。そんな中、一つの牢の前で四人は立ち止まった。

「フレッド・ジョーンズ、私の幼なじみよ……」

ミモザが悲しそうな声で言い、唇を噛み締めながら檻の中を見る。そこには、ブラウンの髪を持った男の子が体を縮こませ、震えながら眠っていた。その閉じられた目からは涙が流れており、「マルコ……マルコ……」と誰かの名前を何度も呟いている。

「マルコはフレッドが捕まってから、一番に仲良くなった奴だよ。明るくて、脱獄の計画を立てていたのも彼だ。……でも、出荷された」

「あたしたちは何もできなかった。ただ、連れて行かれるフレッドを見ていることしかできなかった。フレッドだけは立ち向かっていったけど、脱獄も、マルコを救うこともできなかった。それからずっとあんな感じだ」