ツヤはイヅナの腕を掴み、ゴブリンの返事を待たずにその場を去る。イヅナは慌てて足を動かし、ツヤに並んで歩く。

無表情なツヤのその横顔からは、何も感じ取ることができなかった。



イヅナが連れて来られたのは、「実験室」と書かれたプレートがある部屋だった。部屋の中央には拘束具のついた手術台のようなものが置かれており、その左右には大きな棚が並んでいる。その棚の中には、瓶に入れられた謎の液体がいくつも入っており、何かの実験で使われる器具も置かれている。

イヅナはツヤに椅子に座らせられる。ツヤもイヅナの前に椅子を置き、無表情のまま座る。しばらく重い沈黙が流れた。

「ツヤ……あっ、違いました!カヤさん、お久しぶりです」

イヅナはまた首を絞められないかと少し怯えながらも、ツヤに話しかける。しばらく無言で見つめられ、イヅナが何か間違ったことを言ったのではと思った時、ふわりと体が温もりに包まれる。

「カヤさん……」

「ツヤでいい」