「ほら、たっぷり歩けよ」
手錠を外され、代わりに足枷を付けられてイヅナの体はゴブリンに強く押される。イヅナがよろけるとゴブリンに笑われ、グッと唇を噛み締めながらイヅナは部屋を歩き始めた。
部屋に家具や子ども向けの遊び道具などは置かれておらず、檻の中と大して変わらない。鎖をジャラジャラと鳴らしながら、イヅナは何も考えないようにして歩く。
「おい、そろそろ檻に戻るぞ」
足枷の鎖を引っ張られ、イヅナは転びそうになるのを何とか堪えた。まだ数十秒しか歩いていないような気がするが、逆らうとどうなるかわからない。
「……はい」
覇気のない声でイヅナは返事をし、両手に手錠がかけられる。そして部屋を出ようとしたその時だった。
「お前たち待て。管理No.663に用がある。渡してもらおうか」
イヅナとゴブリンが振り返った先には、両手を組んで威圧的な目をしたツヤが立っていた。ツヤとは潜入が始まったその日しか会えておらず、イヅナは「ツヤさん」と呼んでしまいそうになる。
手錠を外され、代わりに足枷を付けられてイヅナの体はゴブリンに強く押される。イヅナがよろけるとゴブリンに笑われ、グッと唇を噛み締めながらイヅナは部屋を歩き始めた。
部屋に家具や子ども向けの遊び道具などは置かれておらず、檻の中と大して変わらない。鎖をジャラジャラと鳴らしながら、イヅナは何も考えないようにして歩く。
「おい、そろそろ檻に戻るぞ」
足枷の鎖を引っ張られ、イヅナは転びそうになるのを何とか堪えた。まだ数十秒しか歩いていないような気がするが、逆らうとどうなるかわからない。
「……はい」
覇気のない声でイヅナは返事をし、両手に手錠がかけられる。そして部屋を出ようとしたその時だった。
「お前たち待て。管理No.663に用がある。渡してもらおうか」
イヅナとゴブリンが振り返った先には、両手を組んで威圧的な目をしたツヤが立っていた。ツヤとは潜入が始まったその日しか会えておらず、イヅナは「ツヤさん」と呼んでしまいそうになる。