（誰とも関わらないようにして、心を壊して脱走なんて考えられないようにしているのかしら……）

そんなことを考えていると、遠くからガチャリと鍵が外される音が聞こえてくる。そして、「ここから出して！」と子どもたちが叫ぶ中、規則正しい足音が牢の中に響く。

「管理No.663、運動の時間だ。出ろ」

ゴブリンがイヅナの檻の鍵を開け、入ってくる。イヅナは気怠い体をゆっくりと起こし、立ち上がる。

立ち上がると、すぐにイヅナの両手に手錠がかけられる。そして手錠についた鎖をゴブリンが引っ張り、イヅナはゆっくりと歩き出した。閉じ込められている時間の方が長く、強いストレスもかかり、体力が落ちてしまっているのだ。

牢の中をゴブリンに連れられて歩いていると、子どもたちからの視線が突き刺さる。どのような目で見られているのか知るのが怖いため、イヅナは檻の方を見ないようにまっすぐ歩く。

檻を出てしばらく歩くと、ゴブリンが運動をするための部屋のドアを開ける。真っ白な六畳ほどの小さな部屋だ。