司は尻もちをついている美琴に手を差し伸べる。恥ずかしがりながらも、美琴はその手を掴むと、ゆっくりと起き上がったのだ。

 その手はしっかり握られており、誰にも離す事が出来なかった。そして、二人はそのまま目的の場所へ歩いて行った。

「着きましたわよ。ここが・・・・・・わたくしだけの場所ですわ」

 司の目に映ったのは、煌びやかな風景であった。まるでこの世のものとは思えない程、幻想的であり今にも飲み込まれそうになるぐらい美しかった。

「凄く・・・・・・綺麗だね。こんな景色、見た事ないよ」
「ふふふ、そう言って頂けると、連れて来たかいがあったというものですわ」

 二人は時間を忘れその景色に魅入っていた。二人だけの時間、誰にも邪魔をされず幻想的な世界に身を置いていた。

 いつの間にか、二人はその景色に祝福されるかのように、お互いを見つめあっていた。時間が止まり、静寂の中で二人の息遣いだけが聞こえていた。

「あの・・・・・・」

 最初に口を開いたのは司であった。最初から心に思っていた事、ひと目美琴を見た時に走った電流を思い出し、勇気を絞り出そうとしていた。

 そして、覚悟を決めた司は自分の気持ちを美琴に伝えたのであった。

「美琴・・・・・・。少しだけ、話し、聞いてくれるかな? とても大切な話し・・・・・・なんだけど」
「・・・・・・どうしましたか? そんなに改まって、司様の話しならいつでもお聞きしますよ?」

 今にも心臓が口から飛び出すのではと思うぐらい、司の心臓は激しく鼓動していた。次の言葉が中々出て来ない司は、大きく深呼吸し心を落ち着かせる。

 そして、美琴に対する想いを口にしたのであった。

「美琴・・・・・・実は、初めてキミを見た時、全身に電流が流れたんだ。こんなにも美しい人・・・・・・ではなく神様がいるんだなって。もし、もしも、美琴もずっと一緒にいられたらどんなに幸せだろうって・・・・・・ずっと考えていたんだ」
「司・・・・・・様」
「だから・・・・・・僕と、付き合ってくれませんか!」

 頭を下げ両手を前に突き出す司。再び心臓が激しく鼓動する。そして、美琴から下される審判を待ち望んでいたのだ。すると、温かい感触が突然両手に伝わって来る。

 まるで、司の心を落ち着かせるような温かさであった。

「司様・・・・・・。その気持ち、本当・・・・・・ですか? わたくしなんかで、本当によろしいのですか?」