「ふぉんとほぉいしぃね!」
「ねぇ、美琴、ちゃんと食べてから喋らないと、何言ってるか分からないよ。それに・・・・・・」

 司はポケットから白いハンカチを取り出すと、美琴の口元についたチョコを優しく拭いてあげたのだ。すると、司がとった突然の行動に、美琴の顔が真っ赤に染まる。

 そして、チョコバナナを飲み込むと恥じらう仕草を見せたのだ。

「ふぇっ!? つ、司様・・・・・・、な、何をなさいますの!」
「え・・・・・・だ、だって、チョコつけたままだと、可愛い美琴の顔が台無しに・・・・・・」
「か、か、可愛い!? わ、わたくしが? そ、そんな事・・・・・・」

 司の褒め言葉に激しく動揺してしまう美琴。真っ赤な顔から湯気が立ち、今にも倒れそうなぐらい恥ずかしかったのだ。

 『可愛い』という言葉が頭の中を旋回する。そして、フラフラと横に揺れそのまま司にもたれかかってしまった。

「だ、大丈夫かい、美琴? どこか具合でも悪いの?」
「う、ううん。だ、大丈夫よ、大丈夫。あ、ありがとう・・・・・・ね。その、拭いてくれて・・・・・・」
「本当に・・・・・・? 無理はしないでね?」
「ほ、本当に・・・・・・大丈夫だから・・・・・・。それじゃ、気を取り直して屋台巡りを再開しましょ?」

 激しくなる胸の鼓動を抑えながら、司の腕に絡んだのだ。豊満な胸が司の腕に触れ、美琴の体温が伝わっていく。

 お互いの体温が行き来する中、胸の鼓動までもが伝わっているのではと、美琴は心配になっていた。

 二人は恋人のように歩きながら屋台を見て回る。お互いの顔が赤くなり、その仕草が初々しかった。まるで夢のような現実に、二人は時間を忘れ酔いしれていた。

 そして、神々の屋台を一通り見終わると、美琴は司をある場所へ誘おうとしていた。そこは、美琴のお気に入りであり誰にも話した事がない場所であった。

「あの・・・・・・司様、わたくし、司様を連れて行きたい場所がございますの」
「僕を連れて行きたい場所・・・・・・? 美琴と一緒なら、どこへでも行くよ!」
「嬉しい・・・・・・嬉しいですわ、司様。で、でわ、さっそく参りましょう!」