「あ、あの・・・・・・アナタ様は一体・・・・・・?」
「え、えっと、僕は、八代司、高校二年生です。キミの名前は・・・・・・? それにここは何処なんでしょうか?」
「これは大変失礼致しました。わたくしは、永姫美琴と申します。美琴と呼んで貰って構いませんよ。それとこの場所なのですが・・・・・・」

 美琴はここがどのような場所であるか、またここにはどのような者達が暮らしているのかを丁寧に説明してくれたのだ。

「ここは神々が住まう世界なのです。通常、八代司様のような人間が住む世界とは、隔離されているのですよ。ただ、稀ですが空間がねじ曲がって繋がってしまい、こちらの世界に迷い込んでしまうケースがあるのです。いわゆる、神隠しというものになります」
「か、神様の住む世界・・・・・・ですか。では、美琴様も神様なのですね」
「ええ、そうですよ。それと、わたくしの事は・・・・・・美琴と呼び捨てにして欲しいのです」

 顔をほんのり赤く染めた美琴は、恥ずかしそうな口調であった。長い年月を生きている神である為、迷い込んでくる人間とは何度か会った事がある。

 だが、今日出会った司は、今までの人間達とは違って見えたのだ。なぜなら、美琴には司の周辺が輝いているように見えていた。つまり、美琴は司にひとめぼれしてしまったのだ。

 そんな美琴は、この世界で祭りの真っ最中である事を思い出す。そして、意を決し司の手を優しく掴んだのだ。

 美琴がとった突然の行動に、司は思わず顔を紅潮させてしまう。そんな司に対して美琴は、目を輝かせながら頼み事をしたのである。

「司様・・・・・・とお呼びしてもよろしいでしょうか? それでですね、あの・・・・・・その、わたくしと一緒にお祭りに行って頂けませんか?」
「美琴の呼びたいように呼んでいいよ。祭り・・・・・・やってるんだね。僕で良ければ付き合いますよ」