「プリン買って来たよー」

玄関から声がした。

これはさっき電話が来た正志にーちゃんだ!

でっかい箱を持って帰って来た、全員分のプリンは結構な量があるからな。
さっそく開いた箱をのぞき込んで食べたいプリンを選んだ。

「芽衣ちゃん、芽衣ちゃんはどの味がいい?プレーンと、抹茶と、チョコレートと、いちご…は今奏志が取っちゃったけど」

「じゃあチョコレートで、ありがとう!」

「あ、芽衣ちゃん爪可愛いね」

はいっとプリンとスプーンを渡していた。

「正志お兄ちゃんは優しいね!」

プリンをもらって嬉しそうな芽衣が何かを含めた笑顔を俺に向けた。

どーゆう意味だ?それは。
悪かったな!なんかいろいろ!

ソファーに並んで座ってプリンを食べる。

「いいなぁ、私も正志お兄ちゃんみたいなお兄ちゃんがよかったなー」

プリンのフィルムの剥がしながら芽衣が口を尖らせる。

「怜くんが泣くぞ」

「泣かないよ、お兄ちゃんが泣いてるのなんか見たことないし」

「へぇ」

「"お兄ちゃん”って存在がいるかどうかも怪しいもん、基本家にいないから。私の妄想かな?妄想お兄ちゃん!」

即食べ終わったプリンのゴミを捨てるのに目で訴えるよう正志にーちゃんを呼んだ。

「奏志!自分のゴミぐらい自分で捨てなっ!!」

のが、すぐ織華ねぇーちゃんにバレた。
しぶしぶ立ち上がってゴミ箱まで手を伸ばそうと思うと、隣からさっと空になったプリンの入れ物を渡された。

「奏志これも!」

「お前っ」

ふふんっと芽衣が笑って。
思わずチョップをかました。

「痛っ」

しょーがなくゴミは一緒に捨ててやった。