「………。」

訪れる沈黙。硬直する私。

な、何を話せば…?

ゲームの電源も切ってしまってテレビも消しちゃった。

ただただ無音の状態が続く。

はぁっと奏志が息を吐く音が聞こえた。

「…お前さーーーーー!あっからさまに態度変えるんじゃねぇよ!」 

そこそこ大きな声で呆れたように私に言う。

体を起こして、座ったまま肘を立ててその上に顔を乗せた。めっちゃ眉間にしわ寄ってる。

「かっ、変えるでしょ!奏志はなんでそんな変わんないの!?もっと、こう!あの…あるでしょ!」

「ないね」

「…~っ」

口をきゅっとして、一度飲み込んだ。
ゆっくりちゃんと話すために。

「…奏志は普通でも私は普通にできないの。す、好きとか言われたの(小声)初めてだし意識するじゃん!そんなの言われたら!」

しかもずっと家族みたいに過ごしてきた相手に。

「へぇ、意識してくれてんだ?」

「あたりまえじゃん!」

その瞬間、奏志がグイッと顔を近付けた。

「じゃあもっと意識させてやろうか?」

唇まであと1㎝。

ドキドキなんてしないわけがない。

前にもあった、あの時には感じなかったドキドキ。

視界には奏志しか映ってない。

「なーんてな、ばーかっ」

ケラッと笑いながら私から離れた。

前とは違う、気持ちを知ってしまったから。

だって、本当にされるかもって…

「むかつく!!!もう帰るから!!!」

熱くなった顔を隠すようにマフラーを巻いて、コートを手に取り部屋から出た。

ガチャッと大きな音を立てながらドアを開けた。

「わっ、大志!ごめん!」

あまりに勢いよく私が飛び出たからあやうくお盆にジュースを乗せた大志とぶつかりそうになった。

「大丈夫だった!?」

「うん、大丈夫だけど。帰るの?」

「うん、もう帰る!ばいばい!お邪魔しました!」

「うん…」