昇降口へ着いた。今日はちゃんと靴がある。ほっと胸を撫で下ろす。


「麦ちゃん、おはよう」

「ん?」

声のする方を向くと、そこには百点満点のスマイルで輝きを放った王子様がいた。


「えっ久野先輩!おはようございます」

また今日も会えるなんて、夢みたいだ。

先輩を食い入るように見つめながらそんなことを思っていた。

不穏な空気が流れているのに気がついて隣の柳瀬を見ると、ひどい目つきで先輩を睨みつけていた。