「別に、柳瀬に分かってもらわなくたっていいもんねー」

そんなことを言って浮かれ気分で歩いていたら、勢いよく左腕を引っぱられ、柳瀬の方に引き寄せられた。


「えっ何」

目の前に柳瀬の制服。分かりやすく言えば、超至近距離。柳瀬の香りがした。


その横を、住宅街で三十キロ道路なのに、明らかにスピードを出し過ぎている車が通り過ぎて行った。


「危ねぇだろ!!」

近くで大声を出され、思わず目を閉じた。


「浮かれてないで、自分の周りぐらいちゃんと見て歩け!」

……こんなに怒ってる柳瀬、初めて見た。