母親の震えるような声が耳に届いた。

「お、お願い。もうやめてちょうだい」

「お母さん…」

中学生のころは、一緒に買い物に行って、服を交換してみたり…

友達みたいだったよね。

あの頃のままのわたしだったら…

さっきみたいに臓器を提供してくださいなんてこと、言わなかったのかな。

わたしが原因、そんなことはわかってる。

でもね、お母さんには、どんなわたしであっても守ってもらいたかった。

昔、お腹の中で繋がってたときみたいに。

「お、お願いだから、た、たすけて」

すがるような眼差しで母親は見ている。

わたしを見て、そんなに怯えないで…

わたし、少しだけ悩んでるんだよ、今も。

と思ったとき、母親がバッグから何かを取り出した。

そして、わたしに向かって突進してきた。