「おいっ、寧々見てないか!?」

「……っ、なんだよ。そんなに濡れて……」


びしょ濡れの俺を見て驚いたような顔をする白樺の腕をつかんで、もう一度聞く。


「寧々見てないかって聞いてんだよっ!」

「見てねえけど……どうしたんだ」

「肝試しが終わってから部屋にもどってねえんだよ!」


そう言うと、まだロビーにいた佐藤たち3人が心配そうに駆け寄って来た。


「大丈夫、かな」


震える佐藤の声に、眉をしかめる白樺。

それから俺を見て、グッと目を細めた。


「……どういうことなんだ」


その低い声は、俺の不安を搔き立てた。


「佐藤。寧々と肝試しの班が一緒だったヤツの部屋に案内して」