背が高くてかわいくて私の目指す理想の人だった。こんなふうになれたらなぁと見とれていると彼女と目が合ってしまった。

 ごめんなさい、と心の中で呟いて目をコートに戻した。けれど、彼女のかわいさをもう少し摂取したくてこっそりと見る。

 かわいいなぁ。彼女に話しかけられたら、彼女のかわいさの秘密を聞けるのにと自分の人見知りを恨んだ。



「君もテニス部入るの」



 そう彼女に話しかけたのは彼女と反対側の私の隣にいたはずの理央だった。いつの間に移動したのか、理央は美少女の隣にいた。



「えっと、はい」



 突然話しかけられたことに驚いたのか、彼女はおびえながら答えた。



「俺たちもテニス部入るつもりなんだ」



 理央は私の方に目を向けた。彼女も私の方を見たので、大きく頷いた。



「そうなんですね」



 彼女は嬉しそうに言って、「よかった」と安心したように小さく呟いた。