けど、律くんに話すのはあまり気が進まなかった。



「いいよ、無理に言わなくて」



やさしい声とともに、手をつながれる。



「その間、愛乃を独り占めできるからね」



律くんに手をつながれたまま、学校に向かう。

律くんと手をつなぐのは久しぶりだった。小学生のころはよく手をつないで帰っていた。私が真ん中で、両側に理央と律くんがいた。あの頃はケンカしてもすぐに仲直りして、疎遠になることなんかなかったのに。三人で手をつないで帰ったあのときには、ずっとこのままの日々が続くと思っていた。

片方の手が空いているなんて想像できなかったのになぁ。

今私の手には律くんの手が繋がれるだけで。あのころとは違う大きくて指が長くて、少し骨ばっている男子高校生の手だった。

時を経た今、律くんと手をつなぐのはなんだかむずがゆかった。