たった十分の休み時間も三人で話しているとあっという間だなぁ。緊張感の漂う教室で息苦しかった私を律くんのところに連れてきてくれた理央に感謝だ。



「律くん、またあとでね」
 


 手を振ってくれた律くんも自分の教室に戻って行った。



 翌日、私たちはテニス部の見学に来ていた。グランドの端に木々に囲まれるように四つのテニスコートが並んでいる。男子と女子のテニス部が共同で練習していた。男女合わせても部員数は多くなく、四つのコートでも余裕で練習できる人数だった。

 活動日は水曜日と日曜日を除いた週五日間と校内の宣伝ポスターに書かれていた。テニスは好きだけど、ハードな練習は苦手だから水曜日の休みに心が救われる。

 練習の邪魔にならないようにフェンス越しから先輩たちの練習を眺めていると、隣に一人の女子生徒が来た。彼女は静かに練習の様子を見ていた。

 私よりも背が高くてすらっとしている彼女のポニーテールが風に揺れた。ちらりと、彼女の横顔を見る。鼻筋の通った綺麗な顔をしていた。まさに美少女と形容するのが相応しい。