「まあ、律に聞くからいいんだけど」



「だめー」



思わず叫んでしまったけど、冷静に考えると律くんが話すはずがないよね。でも、二人の秘密だって言ってないし。もしかして、律くん話しちゃうかな。

律の家に向かおうとする理央の腕を掴んだ。

すると、理央に腕を掴み返されて引っ張られた。あっという間に、理央の腕に包まれた。

上を向けば、すぐそばに理央の顔がある。

ち、近い。こんなことするなんて、律くんみたい。

よかったぁ。これ以上、近くにいたら理央相手に緊張しているのがばれてしまうところだった。



「愛乃、おはよう。理央が先に来てるの珍しいね」

「今、愛乃から聞いたんだけど。律、お前」



あわわ。理央、何言うの。すごく、律くんのこと睨んでるんだけど。



「愛乃、話したんだ」



律くんと目が合った。

だって、理央がしつこいから。



「俺のほうが一歩、リードだね」

「言ってろ」



依然、理央の眼光が鋭いのですが。二人の間に密かな火花が散っている気が。



「遅刻しちゃうよ」

「そうだね、行こうか」



あれ、消火されたみたい。なんだったんだろう。まあ、仲良しが一番。

私は二人の手を引いて歩き出した。