「じゃあ、教えて」
言葉はいつもの意地悪な理央だった。
「大したことじゃないよ」
「だったら、言えるよな」
逃げ場所がない。そんなこと言われたら、言うしかなくなるじゃん。
背伸びして、理央の耳もとで話した。昨日、律くんにしてもらったことを。
「はぁー」
なんで、溜息!?
「なんで、律なんだよ」
あんなこと、律くんじゃないと頼めないよ。それに、きっかけは理央の発言のせいなんだから。
「理央じゃだめなの」
「なんでだよ。てか、それなら自分ですればよくない」
その手があったんだ。
「ほんとだ」
トンっと肩に頭を乗せられた。
「もう、律に頼むの禁止。てか、誰にもそんなことさせるなよ」
「わかった。わかったから、放して」
しぶしぶというように、理央の腕がほどかれた。
「あ、律くん。おはよう」
理央に解放されて、向かいの家から出てきた律くんの元に駆け寄った。