律くんと二人でいることが増えたから、本当に付き合っているみたいに見えるんじゃないかな。それでいいんだけど。それが目的だから、律くんの彼女に見えていいんだけど。

いいんだけど、なぜかしっくりこない。

この状況を理央はどう思っているんだろう。



「愛乃、何考えてるの」

「へ、何」

「ぼーっとしすぎ。もしかして、もっとキスされるとか思ってた? 」



律くんは本当に私の考えていることがわかってしまうんだね。



「ち、ちがうよ」

「顔紅くなってるよ」



今まで以上に律くんは休み時間に私のところに来るようになった。たまに教室から連れ出されて、何もすることなく中庭のベンチで駄弁るようになった。



「なってないよ」



誤魔化すために顔を背ける。



「もっと、俺のこと意識して」



律くんの声が鼓膜に直接届いた。

これは彼女のフリなんだよね。なんで、そんなこと言うの。