*
そして、放課後。
律くんと一緒に彼女を呼び出した教室に向かう。
「ねえ、律くん。彼女のフリって何したらいいの? 」
「愛乃は隣にいてくれるだけでいいよ」
「ほんとに。怪しまれないかな」
「じゃあ」
手を握られた。指が絡まって、律くんとの距離が近くなる。
これは、恋人繋ぎというものでは。
「これだったら、怪しまれないでしょ」
律くんはつないだ手を私に見せて、微笑んだ。
「う、うん。そうだね」
なんだろう。いつもと距離は同じはずなのに、こんな繋ぎ方をされたらなんだか本当に恋人同士みたい。
ガラッと、教室の扉が開いて一人の女の子が入ってきた。
彼女が律くんに告白してきた人みたい。
律くんのクラスメイトらしく、見たことがなかった。
これなら、きっと幼なじみだって。
偽の彼女だってばれることはないよね。