真央くんは私のあこがれの人で、好きだった人。真央くんは理央と同様にモテるからいつも隣には女の人がいて、私の入る隙間なんてなかったんだけど。二歳上の真央くんは大人びていて、あこがれだった。真央くんが彼女さんと別れたと聞くと、告白しようと思うけれど一度も実行したことはなかった。真央くんに彼女ができるたびに律くんに泣きついていたのは昔のことだ。



「真央くんには彼女さんがいるから」

「あっそ」



 理央は聞いてきたくせに興味なさげに返事をした。 



「律くんと離れちゃった」



 クラス分けは都合よくいかず、律くんとだけ別のクラスになってしまった。理央は私と同じクラスだ。

 理央はいじわるだから、同じクラスになるならやさしい律くんとがよかったとあからさまに残念な声を出した。



「大丈夫だよ、愛乃。忘れ物したとき、貸してあげるからそんなに落ち込まないで」



 律くんはそう言って私の頭を撫でてくれた。