「私は別に。けど、私はあの人たちとは違うから困ったときはお互い様、だよ」

 穂香ちゃんは頷いて、ぽつりぽつりと中学時代のことを話してくれた。

 クラスの男子と話していただけなのに、同級生から嫌がらせを受けたこと。そのことがきっかけでテニス部に居づらくなって退部したこと。

 穂香ちゃんの話は私には信じられなくて。

 もし、理央と律くんと仲良くしているだけで、意地悪なことをされたらたまらない気持ちになるだろうと想像して怖くなった。

 世には恐ろしい人がいるものだと、身震いするとふわっとぬくもりに包まれた。



「大丈夫、愛乃が絡まれても俺が助けるから」



 律くんの腕に包まれる。



「律くん」



 上を見上げると律くんと目があった。



「俺が愛乃の彼氏になってあげようか」



 え、なんて。律くんが私の。かれし。

 どういう、話の流れですか。



「何してるの。おいてくよ」



 理央の声に我に返った。