「律くん、大好き」

「愛乃はなんでそんなに背が高くなりたいの」

「だって、二人とも身長高いでしょ。私も二人と並んでも釣り合うようになりたいんだ」

「今でも十分、可愛いよ」



 律くんはいつも私を甘やかすように「可愛い」と言ってくる。



「可愛いじゃだめなの」



 私が目指しているのは「可愛い」じゃなくて、「美人」だから。

 背が高くて、すらっとしていて、顔がきれいで、やさしくて、髪がさらさらで、胸が大きい人。



「あの子みたいな」



 視界に映った、美少女を指さす。美少女はロングヘアーを高い位置で結んでいて、私たちと同じ制服を着ていた。

 理央が納得したように頷いた。



「兄貴の彼女と似てる」

「本当だ。真央くんの彼女と似てるね」



 真央くんは理央の二つ年上の兄だ。そして、私のあこがれの人だった。



「まだ、兄貴のこと好きなの」



 理央はさらっと痛いところを突いてくる。