「愛乃も打ち足りなそうだし」



 理央に目線を送られて「穂香ちゃんも一緒にしようよ」と頷いた。



「いつも、三人でテニスしてたから。近くの公園のコート借りてよくしてたんだ」



「それなら」と渋っていた穂香ちゃんは了承した。

理央って私以外の人には優しいんだよね。



「愛乃やきもち焼いてる? 」



 律くんに顔を覗き込まれた。



「なんで」



「なんか、不満そうな顔してるから」



 そんなつもりはないけど、律くんはなんでもわかっちゃうんだなぁ。



「理央って、穂香ちゃんには優しいよね。なんだかんだ言って、穂香ちゃんのこと好きなんじゃないかな」

「んー、俺からは何とも言えないかな」

「知ってるなら教えてよ。理央の恋なら応援したい」



 ぐっと意気込んで両手を握りしめた。



「俺の恋は応援してくれる? 」



 律くんの恋?



「律くん好きな人いるの」

「いないよ」

「よかった。律くんに彼女ができたらちょっと寂しい」