「……しの、愛乃。起きないと遅刻するよ」



 夢のなかまで介入してきた声に目を覚ました。



「律くん? 」



 まだはっきりとしない意識のまま体を起こした。



「おはよ、愛乃」



 律くんは私のベッドに腰をかけてそう言った。

 なんで、律くんが私の部屋にいるんだろう。そうか、きっとまだ夢の中なんだ。道理で、眠たいはずだ。

 眠気が襲ってきて、二度寝をきめようと布団にもぐりこんだ。



「愛乃? 寝ちゃったの」



 布団の上から律くんがとんとんとしてくるのが心地いい。

 あったかいなぁ。



「律、愛乃に甘すぎ」



 二度寝の幸せに浸っていると、とげとげしい声が聞こえて眠気が一気に飛んでいった。はっと、目を覚ますと同時に布団が一気にめくられて外界の空気が肌にしみた。

 寒い。布団よ、待って。

 布団を追いかけるように手を伸ばすが、理央に持っていかれた。

 理央、顔怖いよ。



「怒ってる? 」



 恐る恐る尋ねた。



「わざわざ、起こしに来てあげたのに二度寝しようとしてる愛乃が悪い」

「ご、ごめん」