見えないようにしてくれたのかな。

顔を上げると、理央は教室に入ってきた彼女たちにシーって指を口元に当てているのが見えた。

というか、抱きしめられているの見られるほうが恥ずかしいかも。

理央の胸を押しても、離れてくれなくて。

彼女たちが教室を後にしても、理央に抱きしめられたままだった。



「理央、もう大丈夫だよ」



そう言ったら、離してくれた。



「涙止まったな」



そう言われて、頬を伝っていた涙が乾いていることに気づいた。

改めて言われると恥ずかしい。



「う、うん」

「目、紅くなってる」



理央の指が顔に触れて、ビクッとしてしまう。

そんな私を気に留めることなく、理央の指が目じりをなぞる。

静かになった教室で、早くなる鼓動が理央に聞こえてしまいそう。

理央の目が私を見つめる。さっと顔をそらした。



「大丈夫だよ」



理央の手が離れる。



「今日も勉強進まなかったな」