その動作がきれいで、色っぽくて律くんじゃないみたいで。



「三人でするんだよね」

「愛乃は理央ともしたいんだね」



含みを持った言い方は何か別のことを表しているようで。勉強のことだからね。

律くんの手が顔を包むように触れられる。そして、こつんとおでこがぶつかる。

すぐ近くに律くんの顔があって。

律くんの体温が感じられて、息遣いが伝わってくる。



「愛乃が俺のものになればいいのに」



独り言のような小さな声が聞こえた。

おでこが離れる。けど、律くんの顔は近いまま。

あ、キスされる。そう思った瞬間。

部屋の扉が開く音がした。

目を向けるとそこには理央が立っていた。

冷汗がつたる。

見られたかな。律くんにキスされたと勘違いされたかな。

されてないからね。未遂だから。

どう理央に言い訳しようかと考えていると、頬に柔らかいものが触れた。

律くんの唇だった。

言い訳どころじゃなくなった。