「またしてほしい? 」



いたずらな笑みを向けられる。



「そんなことないもん」

「顔紅いけど」

「いじわる」

「もう、避けたりしないで」



避けたくて避けてたわけじゃないんだけど。

理央の声が辛そうで、胸が締め付けられた。



「うん」



頷くと、理央は緊張が解けたみたいにほころんだ表情を見せた。それを見て、不覚にもときめいてしまった。



あの日以降、理央の顔を見て逃げることはしなくなった。気持ちが整理されたというよりも、あのときの理央の顔を思い出すとまた避ける気にはなれなかった。

あの後は一緒に帰ったし、今まで通り理央と律くんと三人で登校するようになった。今まで通りだけど、一つだけ違うことが。

私の定位置は理央と律くんの間だったけど、今は律くんの隣だということ。

理央から離れて、盾にするように律くんの隣をキープしていた。

理央の隣にいたら何されるかわからない。