「それ以上は自分で考えて」



そんな。



「とにかく、俺は佐伯さんのこと何とも思ってないから」

「他に好きな人いるの? 」

「いるっていったらどうする? 」



理央が試すように聞いてくる。



「応援するかな」

「愛乃は俺が誰かと付き合ってもいいの? 」

「誰かって、好きな人いるんでしょ」



理央は誰か好きな人がいるのかな。穂香ちゃんじゃなくても、背が高くて優しくて美人な女の子なのかな。きっと、私にはかなわないようなかわいい女の子なんだろうなあ。

少しだけ、胸が締め付けられた。

応援するって言ったけど、他に好きな人いるなら私にキスしないでほしかった。私一人だけ、理央に振り回されてばかりだ。



「ふにゅ」

「鈍感」



頬を両手で挟まれた。タコの口になった。



「他に好きな人いたら、愛乃にキスなんてしない」



理央の指が私の唇をなぞる。ビクッと体がこわばる。けど、その指はいつもの意地悪な理央とは思えないくらい優しかった。