「嫌だった? 」



嫌? そんなこと考えたことなかった。



「そうじゃなくても、いきなりするのは」



理央がどういうつもりでしてきたのかはわからない。その答えを知りたくないから理央から逃げていたのかも。



「いきなりじゃなかったらいいわけ」

「違う」



あやうく、キスされる流れになってしまうところだった。



「バーカ、するわけないだろ」



おでこに刺激が走る。指でおでこをはじかれた。



「なに、紅くなってんの」



言われて、両手で顔を隠した。



「もう、なんなの。何か用あるんじゃないの」



逃げといて言う言葉じゃないけど。そもそも、理央から声かけてきたから私に用があるんじゃなかったか。まさか、からかうために呼んだわけじゃないだろう。



「今日こそは一緒に帰ろうと思って」



え、それだけ。



「いつも一緒に帰ってるじゃん」



最近は私が避けているから、一緒に帰ってないけど。