「ずっと、このまま理央と離れていくことは嫌だなぁ」



雨粒が地面に染みを作るさまを眺める。

小さいころからずっと一緒で、ケンカしてもすぐに仲直りしていたはずなのに。何を間違ってしまったんだろう。キスされただけなのに、こんなにも理央を避けてしまうのはなぜだろう。

「大丈夫だよ」と、上から優しい声色が降ってくる。

律くんの言葉に顔を上げる。


「理央は離れていかないよ。むしろ、もっと近づきたいって思ってるよ」



「だといいなぁ」



律くんの言葉を聞いて、一筋の光が見えた気がした。



「愛乃に嘘ついたことないでしょ」



「そうだよね」



よし、明日からは理央から逃げないように頑張ってみよう。



「理央の肩は持ちたくないんだけど、愛乃が苦しそうだから。俺も愛乃ともっと近づきたいって思ってるよ」



「律くん以外には近づいたらダメなんでしょ? 」



「愛乃はずっとこのままでいてくれたらいいよ」



そう言って、律くんは私の頭をなでるのだった。いつもは心地いいはずなのに、なぜか胸が締め付けられた。