「だーめ」



律くんの腕に抱きついて距離を縮める。

これで律くんが傘を傾ける必要もないし、律くんも傘に入れるよね。

「これなら、濡れないでしょ? 」と、律くんを見上げた。



「ちょ、愛乃……こんなこと誰にでもしたらだめだよ」



律くんは手で顔を覆って、戸惑いの声をあげる。



「こんなことって? 」



「他の男とこんな風にくっつかないでってこと」



「しないよ、律くんだけだよ」



それに、私が仲いい男の人って律くんたち以外いないし。幼なじみの二人以外男子とほとんど接点ないんだから。



「理央にもしないで」



「……しないよ」



「本当に? 」



疑いの目を向ける律くんだが、微笑んで言った。



「ごめん、意地悪なこと言ったね」



「律くん。私、このままずっと、理央と話せないままなのかな」



「愛乃は理央と話したいの? 」



話したいけど、理央の顔見れないから話せないというのが正しいけど。