秋葉が私に馴れ馴れしくしてくるのは、体育の時間だけじゃなかった。

 それは調理実習でクッキーを作った時のこと。

「秋葉くーん、これ、食べてくださいっ」
「あっ、ずるい、私も!」
「私のを受け取って!」

 案の定、女子に囲まれてしまう秋葉。

 秋葉は冷たい目をして一言言った。

「いらね」

 しゅんとなる女の子たち。

「さすが秋葉くん、ガードが固いわ」
「でも、そういう所が良いのよね」
「そうそう、女の子になびかない所が安心というか」

 だけど秋葉はこちらへずんずんと歩いてくると、私の作ったクッキーの袋を上からグイッと取ってしまった。

「わあっ、返してよ!」

 家に帰ってからゆっくり食べようと思ってたのに!