や、ヤバい!

 私が慌てて逃げようとすると、秋葉は後ろから私の首にかかっていたタオルをつかんだ。

「花帆、これ貸せ」

「えっ!?」

 私が口をパクパクさせていると、秋葉は私のタオルで額の汗をふいた。

「ちょ、ちょっと秋葉、勝手に使わないでよ」

「いーだろ。女子はほとんど試合してないし、このタオルも使ってないんだろ?」

「使ってないけど……私のタオルが汗臭くなるっ!」

「失礼な。俺様の汗は臭くないっつーの。イケメンの香りだから」

「何それっ!」

 私がなおも反論しようとすると、秋葉はまたしても私の頭をポンポンとなでた。

「後で洗って返すから」

「――なっ!」

「それじゃ、次の試合があるから。じゃーな」

 秋葉がヒラヒラと手を振り去っていく。

「何あの子」
「『秋葉』だって」
「秋葉くんとどういう関係!?」
「秋葉くんの汗の匂い、私も嗅ぎたいっ!」

 ヒソヒソと噂する女子たちの視線が痛い……。

「あちゃあ、なんか目立っちゃったね」

 莉茉ちゃんがビックリしたような顔をする。

 全くだよ。

 あいつのせいで、私まで目立っちゃったじゃん! 最悪!