それにしても――。
私がじっと秋葉を見つめていると、秋葉は不思議そうに首をかしげた。
「ん? どした」
「う、ううん、秋葉くん、不良のイメージあったし、お店を嫌々手伝っているのかと思ったけど、やっぱり兎月堂のことが好きなんだなあって」
「あたりめーだろ。ってか不良って」
おかしそうに笑う秋葉。
「えっ、不良じゃないの? だって学校だってしょっちゅう休むし」
「あー、それは、バイトのためだよ」
秋葉が教えてくれる。
「バイトのため?」
「そ。俺らが学校行ってる間、働いてくれてるパートさんがいるんだけどさ、子供が小さくてしょっちゅう熱を出すんだよ。だから、その人が出れない時は俺が学校休んでバイトしてんの」
そ、そうだったの!?
「じゃあ、ケンカのウワサは……」
「それもウソ。俺、和菓子のことを考えてると周りが見えなくなって、しょっちゅう階段から落ちたり植え込みに突っ込んだりするんだよ」
「えっ、そうなの!?」
「そ。それがクラスのやつらにバレるとかっこ悪いから、ケンカだってウソついてんだ」
無邪気に笑う秋葉。
そうだったんだ。
イメージと全然違う……。
クラスメイトたちの前では見せない秋葉の姿に、私は目を白黒させた。