頭を下げる私に「一つの仕事で時間が押してずれ込むと、その後の仕事にも響いてしまいます。そうなれば周りの仕事関係者にも迷惑がかかってしまう。リュウだけの問題ではなくなることくらい、あなたも社会人なら分かりますよね?」と初回からこれでは先が思いやられると言いたげにお説教されてしまった。


 どうしよう。私のせいで西田さんに迷惑をかけてしまった。これでは次回から担当替えを申し出られてしまっても、言い返せない。


「真島さんは悪くないって。俺が仕事の話に夢中になって、それを黙って聞いていてくれただけなんだから。それより撮影始めよう」

「リュウ、いい加減にしないと周りからの評判も落ちるわよ。最近調子に乗ってるとか評価されたら、あっという間に干される」


「もっと肝に銘じなさい」と釘を刺された西田さんだけれど。あまり気にしていないのか、衣装に着替えた西田さんはヘアメイクさんに髪を弄られながら立ち位置へ移動し、スタンバイを始めていた。

 構えられたカメラの前に立った西田さんは、さっきとは全く違う真剣な表情になりガラリと印象が変わる。真面目な表情や可愛い仕草まで、自由自在に次々とポーズを変えた。