ランチを済ませ、時間の経過も忘れるほど会話が弾んでいたっ私達は。撮影時刻が迫っていることに気付き、慌ててデザートのケーキをたいらげ、帰路についた。


 撮影現場に滑り込むように到着するとスタジオでは準備等を終え、西田さんの到着を待っていたカメラマンさんと西田さんのマネージャーさんが話をしている姿を見つけ。
 慌てて西田さんが駆け寄り声をかけた。


「遅くなって申し訳ありません」


 既に衣装を着替えるために上着を脱ぎながら、二人に声ををかけた西田さんの姿を確認するなり「時間厳守!」と叱ったのはマネージャーさんだ。
 西田さんの後ろで、その声にビクッと身を縮めた私に気付いたのか。西田さんから「気にしなくていい、マネージャーは俺に対して怒ってるだけだから」と耳打ちされたけれど。
 そうはいっても時間に間に合わなかったのは、私が一緒に居たからだ。西田さん一人だけでランチを済ませていたら、ちゃんと時間通りにスタジオ入り出来たはずなのだから。


「西田さんのスケジュールも忘れ、私が時間も気にせずに話し込んでしまったのが原因です。申し訳ありませんでした」