マネージャーさんが待つ三階に着くと、一緒に姿を見せた私達を目にするなり「あら?」と不思議そうな表情を浮かべられてしまった。
 そんなマネージャーさんの反応を見て、即座に西田さんが話し出す。


「俺がロビーに着いたら、真島さんが受付に居てさ。目的場所は同じだし受付に言って連れて来た」

「あぁ、だから受付の子が突然内線を切ったのね」


「ヘンだと思ったわ」と疑う様子のないマネージャーさんを見た私達は、目を合わせ。誰にも気づかれないように目だけで会話したのだ。


『マネージャー、気づいてないね』

『はい』


 ここに来る前、先に電話で話したことも。事務所の前まで一緒に歩いて来たことも。
 二人だけの秘密に変わった。

 秘密の共有、それは特別感があって。なんだかワクワクしている自分がいる。


 応接室に通され、これからのスケジュール確認に入る。今注目を浴びている彼にとって、分刻みの仕事量に驚きを隠せない。


「俺なんて、まだまだだよ」


 サラリと答えていたけれど。私から見たら十分忙しく、疲れてしまいそうなスケジュールだと思う。
 なのに肌や髪は綺麗だし。疲れている様子など全然見てなくて。
 いったい、どんな生活を送っているのだろう。